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記事一覧

銀河アンドロメダの猫の旅―30 【魔法界のアート】

 しばらくそこに滞在していると、カナリア国から十八才の娘がやってきた。我々は伯爵と若者モリミズと一緒に、波止場に出迎えに行った。暑い風が海から吹いていて、日差しも強烈だった。湿度が低いので、摂氏四十八度という猛暑の中でもなんとか歩けるが。ともかく町が地下につくられる理由が分かる。彼女は巌窟王の娘であるから、ヒト族だった。しかし、吾輩は彼女に会うまではそのことを忘れていたようだ。ヒト族の娘の特徴は鼻...

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銀河アンドロメダの猫の旅―29 【巌窟王】

明るい日差しが窓に輝くと、朝になっていたのです。銀河鉄道の窓からは、もう下界は緑の広大な高原のような所が見えて、あっという間に、町並みがひろがり、するりと駅の構内に入って行きました。やはり、この惑星アサガオはトパーズの宝石のような美しい色に恵まれた大地でした。「トパーズ。トパーズ」オペラ歌手が歌うような神秘な音色の声がトパーズ駅の構内に響きわたっています。駅そのものがそのような宝石めいた石でつくら...

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銀河アンドロメダの猫の旅―28 【レモンの歌】

  それから、さらに夜になると、寝台車に行くものもいる。我々三人は若いので、やわらかな絹のようなソファーの自分の席で、そのまま寝る。それでも、吾輩、寅坊はまだあまり眠くない。時々、目をつむったり開けたり、あたりの様子をうかがう。目をつむると、やわらかな緑の柳が清流にかかり、岸辺には花が咲いている。吾輩には眠る前に、時々、こうした幻影が現れることがあり、これが楽しみなのである。物音で、目をあけると、...

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銀河アンドロメダの猫の夢―27 【窓の月】

  アンドロメダ銀河では、たくさんの星が蛍の群のようにゆらめき、流れていく中で、日光菩薩、月光菩薩が美しい幻のように舞い、きらびやかにそして慈悲に満ちた光を放っている。どこからか、ハレルヤの歌も聞こえてきた。ハレルヤ。ハレルヤ。猫である吾輩は ハレルヤという言葉を聞いた途端、よく京都で吾輩の主人の銀行員が好きだったヘンデルの曲を思い出した。でも、アンドロメダ銀河で聞いた曲はヘンデルの「ハレルヤ」に...

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銀河アンドロメダの猫の夢―26 【 菩薩の舞い 】

駅の近くのカフェーで補佐官と別れた我々は駅に向かった。通りの並木道には赤い花が咲き、小雨が降っていた。この惑星との別れを惜しんでいるかのような涙が落ちるような降り方に吾輩には思えた。カフェーでの補佐官との色々な話がぽつりと三人の会話に出ると、「内の魔法界にも」とハルリラはやや深刻な顔をして話し始めた。「あの猫族の墓のようなことがあった。長い歴史の中で、今から六百年前に大異変があった。それ以前は暗黒...

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